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ない

(助動)
(なかろ・なく(なかつ)・ない・ない・なけれ・○)
動詞、助動詞「れる」「られる」「せる」「させる」「しめる」「たがる」の未然形に付く。ただし、動詞のうち、「ある」だけには付かない。また、サ変動詞には、未然形のうちの「し」の形に付く。
[1]動作・作用・状態などの打ち消しを表す。

酒も飲まないし、タバコも吸わない

とても犬猫の面倒までは見きれない
[2]文末にあって、問いかけや勧誘の意を表す。普通、上昇調のイントネーションを伴う。「ないか」の形をとることもある。

あなた、あしたはうちにいない

いっしょに手伝ってくれない

もうぼつぼつ出かけない
[3]「ないで」の形で文末にあって、打ち消しの願望や婉曲な禁止の意を表す。

もうどこにも行かないでね

授業中だから、よそ見をしない
〔補説〕 (1)助動詞「ない」の起源は、上代東国方言の助動詞「なふ」と関連があるものともいわれる。文献上では、ロドリゲスの「日本大文典」に、関東方言で「アゲ〈ナイ〉、ヨマ〈ナイ〉、ナラワ〈ナイ〉」などと言うとあるのが早いもので、近世江戸語以降、しだいに広く用いられるようになった。(2)未然形「なかろ」に助動詞「う」の付いた「なかろう」は打ち消しの推量を表すが、この場合、現代語では「ないだろう」を用いることが多い。(3)連用形「なく」に接続助詞「て」の付いた「なくて」は、時に促音が添加されて「なくって」となることがある。「なかなか話が終わら〈なくっ〉てじりじりした」。また、連用形「なく」に助詞「ては」の付いた「なくては」は、話し言葉のくだけた言い方では、「なくちゃ」となることがある。「返事を早く出さ〈なくちゃ〉ならない」(4)連用形「なかっ」は助動詞「た」、助詞「たり」を伴って打ち消しの過去を表すが、これは明治以降、広く用いられるようになったもので、近世江戸語では一般には「なんだ」が用いられた。→なんだ。(5)用言にかかる用法や中止法に用いられる「ないで」を助動詞「ない」の連用形の一つの形と認める説もある。→ないで。(6)仮定形「なけれ」に接続助詞「ば」の付いた「なければ」は、話し言葉でのくだけた言い方では、「なけりゃ」「なきゃ」となることがある。「すぐ出かけ〈なけりゃ〉ならない」「早く行か〈なきゃ〉間に合わない」。なお、近世江戸語では、「なければ」に先立って「ないければ」という言い方が広く用いられた。→ないければ。(7)現代語では、助動詞「ない」は動詞「ある」には付かないが、近世では、「あらない」の例もごくまれにはみられる。「くびもこわいものではあら〈ない〉/おあむ物語」「せく事はあら〈ない〉/浄瑠璃・宵庚申(上)」
[ 大辞林 提供:三省堂 ]
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