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あ・る1 【有る・在る】

(動ラ五)
[文]ラ変 あ・り
〔1〕
【1】物が存在する。
[1](何が存在するかが問題の場合)存在する。

山にはまだ雪が―・る

この川の真ん中に国境が―・る

何かいい方法が―・るといいのだが
[2](その物が存在すること自体は自明で、場所が問題である場合)位置する。

本社は大阪に―・る

その町は札幌の北三〇キロの所に―・る

事故の責任は私に―・る
【2】人が存在する。
[1](誰が存在するかが問題の場合)いる。

昔々、ある所におじいさんとおばあさんが―・りました

今は昔、竹取の翁といふもの―・りけり〔出典: 竹取〕
[2]人が死なずに生存する。

先生の―・りし日をしのぶ
[3](その人が存在すること自体は自明のことで、場所が問題である場合)人がある場所に滞在する。そこに暮らす。

当時彼はパリに―・って絵の勉強をしていた

彼女は今病の床に―・る
[4]人がある特別の地位や環境にいる。

逆境に―・っても望みを捨てない

長年にわたって理事長の職に―・る
【3】所有している。持っている。
[1]人が財産などを所有している。

彼には財産が―・る

お隣にはいい車が―・る
[2]ある人が、家族・親戚・友人などをもっている。

大阪に親戚が―・る

妻子の―・る身
[3]物や人などが、ある要素や、付属的・付随的な物を持っている。

サメには鋭い歯が―・る

あの人は顔にほくろが―・る
[4]人や物がある属性をもっている。

彼女には気品が―・る

ニンニクには独特の匂いが―・る
[5]人などがある能力・実績・経験を持っている。

彼は力が―・る

相当の学力が―・る

政界に影響力が―・る
[6]人が、ある考え・記憶・感覚を持っている。

私にいい考えが―・る

この説にはいろいろ疑問が―・る
[7]人が、何か解決・処理すべき事柄をもっている。

用事が―・るのでお先に失礼する

ちょっと相談が―・るんだけど
【4】(数量を表す語を副詞的に受けて)その物の数・量・重さ・長さ・時間などが…だということを表す。

頭が二つ―・る蛇

重さが一〇トンも―・る岩

運動会まであと一週間―・る
【5】動作・現象が実現する。
[1]何か事が起こる。

踏切で事故が―・った

二人の間に何か―・ったんですか

二度―・ることは三度―・る
[2]行事・催し・会合などが行われる。

これから会議が―・る
【6】
[1](「…とある」の形で)他人の文章を引用して示す。…と書かれている。

法律の条文には『…』と―・る

彼の手紙には『来月帰国する』と―・った
[2](「…とあって」の形で)状況・場合が…であるので。…なので。

子供の日と―・ってどこの遊園地も親子連れでいっぱいだ

全体で決まったと―・っては断れない
[3](「…することがある」「…したことがある」などの形で)時には…する、過去に…した経験をもつ、などの意を表す。

時に内容の一部を変更することが―・る

何度か京都へ行ったことが―・る
[4](「…にあっては」の形で)人間集団・社会を表す名詞を受け、そこにおいては、の意を表す。

わが党に―・っては常に国民の要望にこたえる政策を作っていきたい
〔2〕(補助動詞)
【1】名詞に断定の助動詞「だ」の連用形「で」を添えたものに付いて、指定の意を表す。
[1]ある物事と他の物事とが等しい関係にあることを表す。

彼は学生で―・る

一足す二は三で―・る
[2]ある物事が何らかの類に属することを表す。

トラはネコ科の動物で―・る

吾輩は猫で―・る
[3]ある状態、ある事態にあることを表す。

あたりは一面の銀世界で―・る

彼はもう退職したはずで―・る
[4]古語では、断定の助動詞「なり」「たり」の連用形「に」「と」を添えたものに付く。

一つ松人に―・りせば太刀佩(は)けましを〔出典: 古事記(中)〕

なかなかに人と―・らずは酒壺になりにてしかも酒にしみなむ〔出典: 万葉 343〕
【2】種々の語に付いて、そういう状態である、そういう性質をもっている意を表す。「ある」の前に助詞の入ることもある。
[1]形容詞・形容動詞の連用形に付く場合。

うれしくも―・り、悲しくも―・る

狭くは―・っても楽しいわが家

ここは静かで―・る

みんな親切で―・った
[2]副詞「かく」「しか」「さ」などに付く場合。

世の中は恋繁しゑやかくし―・らば梅の花にもならましものを〔出典: 万葉 819〕
[3]打ち消しの助動詞「ず」、推量の助動詞「べし」の連用形に付く場合。

あすよりはみ山隠りて見えずかも―・らむ〔出典: 古事記(下)〕

かくばかり恋ひむとかねて知らませば妹をば見ずそ―・るべく―・りける〔出典: 万葉 3739〕
【3】動詞の連用形に助詞「て(で)」を添えた形に付いて、動作・作用の完了・継続・残存の意を表す。主として他動詞を受ける。
[1]ある動作・作用の結果が続いていることを表す。

窓が開けて―・る

小さく刻んで―・る
[2]準備がきちんとなされていることを表す。

あすの事はちゃんと予習して―・る

表に車を待たせて―・る

きれいに継いで―・る
【4】動詞の連用形に助詞「つつ」を添えた形に付いて、動作・作用の進行を表す。

太陽が山の端に沈みつつ―・る

病状はだんだんとよくなりつつ―・る
〔補説〕 翻訳文の影響で、「書物を読みつつ―・る」のように継続する動作についても用いることがある
【5】動作性の漢語名詞または動詞の連用形に付いて、その動作をする人に対する尊敬の意を表す。
[1]接頭語「御」によって敬意を添えることが多い(現代語ではややふざけた場合にしか言わない)。

どうぞ御笑覧―・れ

正月五日、主上御元服―・つて〔出典: 平家 1〕

少し御まどろみ―・りける御夢に〔出典: 太平記 3〕
[2](「御…あらせられる」の形で)非常に高い敬意を表す。

殿下が会場に御臨席―・らせられる

伊勢神宮に御参拝―・らせられる
〔補説〕 (1)中世後期の口語ではラ行四段が一般的となる。(2)現代語では、「ある」の打ち消しの言い方として、「あらない」は用いられず、「ない」の語が用いられる。ただし、近世には、ごくまれに、「せく事はあらない/浄瑠璃・宵庚申(上)」などの例がみられる
〔慣用〕 上には上が―・気が―・名が―・花も実も―・一癖―・脈が―/心ここに有らず
(句)有る限り
(句)有るか無きか
(句)有るか無し
(句)在るが儘(まま)
(句)有る事無い事
(句)有るにも有ら
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